style03.ボランティア・ツーリズムを実践・検証する!〜新しいムラの滞在スタイル

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災害ボランティア活動拠点としての“農泊”

ムラの復興・再生×災害ボランティア

ボランティア・ツーリズムを実践・検証する

長期滞在できる農家民宿で災害復興ボランティア活動を実践する!!

自然災害が多い日本では、毎年全国各地で災害が発生しています。 ボランティアとして現地入りされる方も年々増えており、ボランティア団体も全国ネットワークで展開されています。通常は被災した自治体が開設するボランティアセンターに登録をして活動し、寝泊まりする場所は各自で手配をするのが一般的なようです。
そんな災害時に、地元内でのネットワークを持ち、情報を集約して支援が必要な場所・人に支援が出来、またボランティアさんを受け入れることが出来る拠点も持つ“農泊団体”が、今後ますます注目されるのではないでしょうか。
災害の再生・復興は長期の継続した支援が必要です。長期滞在できる農家民宿に滞在し、地元としっかり連携をしながらムラの復興・再生活動が期待されます。

農家民宿滞在=“農泊”ならではの魅力

01

情報。

地域のリアルな情報が集まって来るので必要な場所や人々に直接、支援が出来る。

02

出逢い。

同じ志を持った多様な人たちとの出逢いで、人生が豊かになる。

03

学び。

災害復興・再生に向けた課題や方策を地元の方々との交流から学ぶことが出来る。

実践実例 2020年熊本県南部豪雨大災害ボランティア・ツーリズム

実践実例 2020年熊本県南部豪雨大災害ボランティア・ツーリズム

~ 熊本県人吉市の農家レストラン「ひまわり亭」・あさぎり町の農家民宿「リュウキンカの郷」の実践事例から~

2020(令和2)年7月4日未明、人吉市・球磨郡から芦北地域にかけて停滞した連続的な線上降水帯による超豪雨により、球磨川流域は通常の球磨川水位が20~30m上昇。地域住民の生活圈が広範囲にわたり破壊され、水没・流下するという甚大な被害が発生しました。
コロナ禍でも復興・再生には多くの人員が不可欠です。県外ボランティアの受入が出来ないという状況の中、県内を中心とした多くのボランティアらに被災地を支援して頂きました。その際、民間の活動拠点としての役割を果たしたのが人吉市内の農家レストラン「ひまわり亭」と、あさぎり町の農家民宿「リュウキンカの郷」でした。
いずれも当団体(一社)ムラたび九州の代表理事である本田節が運営する拠点。30年程前から「食・農・命」をテーマに食育主導の地域づくり活動を始め、1998(平成10)年に地域の女性たちを中心とした郷土の家庭料理を実践する農家レストラン「ひまわり亭」を開業、2017年(平成29)年には食と地域コミュニティの研修と宿泊施設を兼ねた農家民宿「リュウキンカの郷」をオープンさせ食と食育を通じた地域づくりを実践しています。

熊本県南部豪雨大災害ボランティア・ツーリズム

地域の“食を守る!”救援物資支援と焚き出しの拠点になった『郷土の家庭料理ひまわり亭』

今回の超豪雨により氾濫した人吉市の球磨川沿いにある「ひまわり亭」も床上まで泥水に浸かってしまいましたが、被災した当日から農泊団体“(一社)隠れ里ひとくまツーリズム”のメンバーらが土砂や被災ゴミを撤去し清掃をしてくれました。被災後の4日目から近所へおにぎり等の炊き出しを始め、その間もキッチンの清掃や消毒を続け、7月15日から本格的な炊き出しのボランティア活動が開始されました。

「ひまわり亭」炊き出しボランティア活動の様子

炊き出しボランティア活動の様子

2016年の熊本地震の際に被災地を回って炊き出しをしていた人吉ロータリークラブのキッチンカーを使い、人吉市・球磨村・山江村・相良村、多良木町などの在宅避難者や避難所を巡り、出来立ての温かい食事提供を2020年の12月末まで実施。その数は約15,000食となります。

救援&支援の物資支援センターの様子

救援&支援の物資支援センターの様子

これまで培ってきた多種・多彩・多様・多数のネットワークにより全国から救援物資が届き、店の一角を救援・支援物資センターとして活用。これらの活動がメディア等にも多く取り上げられ「ひまわり亭」には県内を中心に延べ2,000人以上の炊き出しと土砂や被災ゴミの撤去・清掃活動をするボランティアが集う拠点となったのです。

ボランティアのやすらぎ処 ボランティアの宿泊滞在拠点となった農家民宿『リュウキンカの郷』

農家民宿『リュウキンカの郷』の様子

ボランティアに参集して来た方々の宿泊滞在拠点の場となったのが古民家の宿泊施設「リュウキンカの郷」です。約150年前の古民家をリノベーションし研修施設を併設したこの施設には15~20名程が宿泊でき、一棟貸スタイルの宿として自炊が出来るよう炊飯施設も完備されており、入浴や洗濯等の生活に必要な設備も整っています。
ここを拠点に活動していたのが(一社)RQ災害教育センターRQ九州や益城町ボランティア・ネットワークらの団体で、発災後から常時、ボランティア関係者が滞在し被災地の復旧・復興ボランティア活動を行っていました。また代表理事の本田節の活動を支援してくださる多くのボランティアらもここに滞在し、情報交換の場としても活用されました。

農家民宿『リュウキンカの郷』の様子

参加者コメント

災害時の救援&支援ボランティア団体((一社)RQ災害教育センターRQ九州)

ボランティアで、さらに地域を知るきっかけに。

災害時の救援&支援ボランティア団体
((一社)RQ災害教育センターRQ九州)

日本の農山漁村へ滞在し活動することを目指す“農泊”は、地域の良さ、魅力、楽しさを体感し、地域との交流を通じて移住・定住へと繋げていく活動でもあると思います。この“農泊”の活動は地域の緊急時・災害時にも、その目的や手法が大いに活用出来るものでした。今回の2020年7月4日未明に発災した「熊本南部豪雨大災害」で熊本県の南部地域を襲った未曾有の超豪雨大災害では、コロナ禍と季節的な過酷な条件下にも関わらず、多くのボランティアが駆けつけ多様なボランティア活動を展開してくれました。このボランティア活動から、郷土・地域を知ってもらうことにも結び付いたように思います。
今後、このような滞在を“ボランティア・ツーリズム”として提案し、災害が起きた時には、これらの方式・手法を地域再生へ繋ぐ方法の1つとして活用して行けるようにしていきたいと考えています。

受入地域コメント

(一社)隠れ里ひとくまツーリズム事務局長 宮本雅伸

多くの方の支援に感謝。

(一社)隠れ里ひとくまツーリズム事務局長
 宮本雅伸

自分の住む地域は幸いなことに災害に合わなかったエリアなので、自分たちも発災当日から被災ゴミの撤去、救援物資の発送などの手伝いをしています。妻も毎日、本田節さんと炊き出しをしていました。農家民宿を運営していますので、災害の起きたその週から地方行政の方が交代で滞在し、ボランティア活動をしてくれました。朝早くから出かけて夜遅く帰って来られる。「食事は要りません」と言われましたが、コンビニ弁当ばかりでは申し訳ないと、妻が朝食だけは作りお出ししていました。人吉球磨のために本当に多くの方からのご支援を頂き感謝しています。コロナ禍の中なので、県外の方はなかなかいらっしゃることが出来ないのですが、なんとか自分の故郷は自分たちの力で守っていきたいと、隠れ里ひとくまツーリズムのメンバーらと奮闘しています。

(一社)ムラたび九州 代表理事:本田節

自分のボランティアの経験が、いざという時に次の行動に繋がる!!

(一社)ムラたび九州 代表理事:本田節

今回、自分は被災者という立場と同時に被災された方々を支援する支援者という立場でもありました。2016(平成28)年の熊本地震の際に、これまで地域づくり活動をしていた仲間たちが被災し、その復興支援活動として地震発生2日後から物資の支援や炊き出しを行っていました。その時の経験から今回も支援者として活動出来たのだと思います。自身のボランティアの経験から地域の情報ネットワークの大切さを知り、また長期で滞在するための拠点の必要性も感じていました。農家民宿「リュウキンカの郷」は、食の研修施設としても活用していたので調理道具も全て完備しており、ボランティアの皆さんが自由に使って頂ける様にと開放をしました。コロナ禍の中なので、県外からのボランティアさんは少なかったですが、それでも述べ200人以上のボランティアさんに宿泊して頂きました。住まいも所属も様々な人たちが、人吉・球磨の為に集い、支援してくださったのです。「地域づくりは実践あるのみ!」というのが私のモットーですが、まさにここは現場で感じ学び合える場になっていると思います。ボランティアの経験が、今後もし自分の住んでいる場所・地域で災害が起きた時の次の行動に繋がります。是非、リアルな現場での学び合いに来て下さい。

ここへ行きたい!Area Information

STAY

1日1組限定のオーベルジュとして再生

ひまわり亭

〒868-0075 熊本県人吉市矢黒町1880-2
クラウドファンディングにより308名の支援者を得て、2021年7月に再開に向け準備を進めています。

STAY

「まちづくり、人づくり、元気づくり」を目的とする交流施設

食・農・人 総合研究所 リュウキンカの郷

〒868-0444 熊本県あさぎり町 深田西879‐1

GROUP

人吉球磨の復興のために

ひまわり亭災害支援ネットワーク

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